Innovate Old Company (Japanese)

『イノベート・オールド・カンパニー(上巻)』(〜本作は、2010年2月に公開)

日本企業は、かつて、イノベーティブだった。戦後まもなくから、経済大国へ進む段階で、欧米の良きところを貪欲に学んだ。日常的に創意工夫を重ねた。そして、自らの信念に基づく革新的な取り組みにも大胆だった。

‘70年代末から”Japan as No.1”が語られ、90年代初頭の絶頂期へ向かう中、官僚主義が頭をもたげ始めた。’90年前後から、『欧米から学ぶことはもうない』という横柄なフレーズが団塊の世代を中心に頻繁に使われた。貪欲さも謙虚さも失い、そして、競争力も減衰した。

『会社の潜在能力が、全然、活用されてない』、『会社が役所より官僚組織だ』、『今の仕組みでは、会社が弱くなる』、・・・、そう感じたことは、ないだろうか?

本絵巻は、日本企業の批判が目的ではない。米国の経営手法紹介も目的としない。良くも悪くも特徴的な日本の企業文化に適した再興の仕組みを探ることが目的だ。

上下2巻からなる。まずは、上巻を掲載する。

 

 
※ スマホやタブレットで閲覧する場合、上記のスライドをfull screen表示できない場合があります。その場合、指で拡大して見ることはできます。あるいは、こちらから、PDFを表示してご覧頂ければと思います(file size: 9M)。iPhoneやiPadでは、iBookアプリに送ると読みやすいと思います。
 
 
———————————-
  本作は、上巻だけで筆を置きました。本作公開後、ほどなくして、日本企業もグローバル化の動きが加速しはじめ、ならば、日本企業の新しい体制作りがひと段落した後に執筆を再開しようと一旦中断。実際、以前、籍を置いていた会社でも、グループ内で最も成果を出していた英国人リーダーを社長に招く人事を発表、日本企業の経営も変わるかと思われました。しかし、1年半後、執筆を再開したタイミングで、その会社で経営陣による大きなスキャンダルが発覚。無実の英国人社長をクビにして事件をもみ消そうとした挙句、海外メディアから追及を受け、その後、第三者委員会の調査で旧経営陣の不正が明るみに。
  この事件では、逮捕された主犯格の経営陣、不正を指南した人物、直後に指揮を取った経営者、英国人社長の正義を支持した元経営者、実行に関与した上級幹部など多くの関係者と面識があり、さらに、スキャンダル発覚直後から同社の多くの社員や役員とも交流する機会がありました。社員は、ある者は、憤慨し、あるいは、呆れ果てて会社を去り、あるいは真摯に受け止め襟を正した人もいれば、経営陣に毅然と抗議する人、外からの雑音には耳を塞ぎ淡々と仕事を続けた人、極少数ですが、経営陣の当初の悪あがき、もみ消し工作に加担した人など様々。日本企業と役所や金融機関、国内マスメディアとの関係にも考えさせられるものが多々ありました。約半年に及ぶ喧騒を経て、企業というもの、組織というもの、社員という立場への理解が格段に深まったと共に、同時に疑問も大量に膨らみ、上巻の延長線上では下巻を書く意欲がなくなった、これが上巻だけで筆を置いた理由です。いつの日か、同じタイトルで、ゼロから書き直したいと思います。
  一方、日米の企業経営比較(日本の普通の企業 対 米国の優良企業)という位置付けでは、上巻の内容には、意味があると思い、そのまま、公開を続けています。

Filed under